HTのこと

とある人物と、面識はないが一時期交流があった。


その人は言った。

田舎の人間が悪意に満ちる理由を研究したらどうか、と。

田舎であること…単に人の目がない、と思うならそれは間違いだと思う。

人口の多い場所の何倍も相互監視は厳しい。

そしてその評価はダイレクトにやってくる。

若ければ身体に痛みをともなう暴力になるし、老いていればそれ以外の暴力に姿を変えてつきまとう。


わたしにはずっと考えていたことがある。

とくに何の産業も景観もない田舎には、必ず生活または産業廃棄施設がある。

うちの近くにはそれに加えて遺体焼却施設もある。

そこから発せられる何らかの物質が、人格に影響を及ぼすのでは、と。


彼の見解も、似たようなものだった。

同じ土地で採れた野菜を食べ続けると、毒素で死んでしまうことがあるらしい。

化学的、人口的、もしくは自然によるものに関わらず、ベースになる場所で人生は大きく変わる。


わたしは研究者にはなれない。

現時点で無学だし、学ぶ意欲もとくにない。

ただし、生物的勘を人間という不自然な存在に当てはめるならば。

嫌だとか、うまくいかないとか、毎日悲しいことがあるとか、悪いものを感じたらその場を離れること。

この世界の場所は豊富にある。

1か月に一度、住む街を変えても余るかもしれない。


人生はいかに気分を保てるかにかかっている。